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【事業化点】事業再構築補助金 審査項目の解釈・ポイント

事業再構築補助金 事業化点

【事業化点】事業再構築補助金の審査項目を認定経営革新等支援機関の中小企業診断士が解説しました。審査項目の解釈やポイントをご覧になれます。このページは事業化点①~④を掲載しています。

事業化点

事業化点①

①本事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。また、金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。 事業再構築補助金 公募要領(第3回)1.1版

審査項目の解釈・ポイント
  • 事業実施のための体制は、組織図や担当者名・役割を一覧にした表などで示すとわかりやいでしょう。事業を遂行できるエビデンスとして、関連資格や業務経験などを付記すると説得力が高まるかもしれません。また、ここでの体制は「社内外の体制」と解釈します※1。事業遂行に重要な社外事業者については組織図等を含めましょう。
  • 事務処理能力は、補助金の申請~交付申請などのいろいろな事務処理についてを指していると考えられます。担当者を明記できるとよいでしょう。また、①採択後の認定支援機関の関与が決まっており事務的な面の支援を受けるときは認定支援機関も体制に明記する、②過去にものづくり補助金などの交付を受けているときは、その際も手続きに問題がなかったこと、などを付記すると説得力が高まるかもしれません。
  • 財務状況という言葉に、特定の数値などを示す明確な定義はありません。事業再構築補助金には申請そのもに売上減少要件があることに留意します。業績が好調ではないことが前提なので「事業遂行にあたり、お金の心配はないこと」の説明が必要です。
  • 資金調達の見込みは、「○○百万円を○○銀行○○支店から融資を受ける」というレベルで示せることが望ましいです。補助事業に実施にあたり融資を受ける予定なら、早めに金融機関に相談してください。なお、全額自己資金で補助事業を実施するときは、採択後に補助金が入金されるまでの資金繰りに不安がないことを説明します。

※1 事業再構築補助金と類似点があるものづくり補助金の審査項目には「補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。」という記載があります。

事業化点②

②事業化に向けて、競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか。事業再構築補助金 公募要領(第3回)1.1版

審査項目の解釈・ポイント
  • 事業再構築補助金は「ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援する」制度です。よって、ここでの「市場ニーズ」は、新型コロナウイルス感染症により生じたニーズであることを示すことが望ましいでしょう。
  • 「補助事業の成果の事業化」とは、事業再構築補助金を活用する事業が付加価値額要件を達成したとき、と考えられます。ユーザーは具体的な顧客層、マーケットは「○○市場」、市場規模はマーケット全体の市場規模(○○億円)といったイメージです。
  • 「市場ニーズの有無」は、1次データを示せると説得力が高まります。1次データとは、公的機関や調査会社などが発表したデータではなく、自社で行った調査やテストマーケティング(クラウドファンディングを含む)のデータという意味です。適切なデータがない場合は、顧客アンケートなどを実施を検討します。1次データを補足するために政府統計や調査会社のデータを活用すると、説得力を高めることができます。なお、第3回公募からは、製品等の新規性要件が緩和され、2020年4月以降の新たに作った製品等は新規性があると認められます。2020年4月以降の実績を市場ニーズとして示すことも考えられます。

事業化点③

③補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。補助事業の課題が明確になっており、その課題の解決方法が明確かつ妥当か。事業再構築補助金 公募要領(第3回)1.1版

審査項目の解釈・ポイント
  • 「価格的・性能的に優位性や収益性を有し」は優位性と収益性に分けて考えます。優位性としては、競合他社と比較して差別化できることや競争力があることを価格・性能から示します。収益性としては、優位性で示したことが、売上や利益を増やす源泉になることを示します。
  • 「事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュール」は、補助事業の実施にあたり発生する業務ごとに、実施時期・担当者・内容などを表で示します。
  • 「事業化に至るまで」は、補助事業実施期間~補助事業終了後の付加価値要件を満たすまでという意味だと考えられます。よって、遂行方法とスケジュールは、補助事業実施期間だけでなく、補助事業終了後に事業化までに行う取組みについても示した方がいい可能性があります。ただし、付加価値要件を満たすまでの遂行方法やスケジュールを詳細に記述するのはページ数の点からも難しいです。補助事業期間の表の下部に、「補助事業期間の終了後は、2ヶ月に1回は販売データを分析して、新製品の改善を続ける」などの文章で説明します。
  • 「補助事業の課題」は、公募要領「10.事業計画作成における注意事項」で事業計画書に含めるように示されている「課題やリスクとその解決方法」という表現に留意して、課題とリスクを分けて示した方がよさそうです。課題は自社でコントロール可能なこと、リスクは自社ではコントロールしきれないこと、というイメージです。
  • 例として、事業再構築の活用イメージ集に例示されているバス会社の「新たに利用者が見込まれる高齢者施設向けの送迎サービスを開始」をもとに解説します。この場合、課題は「介護職員初任者研修の資格をもつ運転手を増やすこと」になるかもしれません。また、リスクは「送迎中の事故や利用者の急病」になるかもしれません。

事業化点④

④補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。 事業再構築補助金 公募要領(第3回)1.1版

審査項目の解釈・ポイント
  • 「補助事業として費用対効果が高いか」は、「4:収益計画」で示す付加価値額が評価対象になるかもしれません。その場合、「事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上の増加」は最低ラインであり、高い増加率を示すほど高く評価される可能性があります。
  • ただし、単純な増加率ではなく、審査項目にある「実現性」とのバランスが重要視される可能性が高いです。それを評価するのが、審査項目後半の「現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待される」の部分でしょう。
  • 強みについては、再構築点③でも問われています。事業再構築補助金では、自社の強みを活かせることが特に重要といえます。「既存事業とのシナジー効果」は、既存事業と事業再構築で取組む事業との相乗効果という意味です。事業再構築補助金では、相互に顧客を誘導できることやノウハウや知的財産を相互に転用できるといったイメージです。なお、生産設備の相互利用もわかりやすいシナジーですが、事業再構築指針の製造等の新規性要件を踏まえると、「シナジーはあっても事業再構築指針を満たさない」というリスクがでてきます。シナジーを示すときには事業再構築指針に抵触しなことを注意してください。

他の審査項目・加点項目

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